更新日:2020年7月31日
目次
【GNSSとは】
●GNSS
Global Navigation Satellite System の略で、衛星測位システム(全球測位衛星システム)の総称です。簡単に言うと、地球上で今いる場所の位置情報を測定するためのシステムです。
人工衛星から発射される信号を用いて位置測定・航法・時刻配信を行います。
代表的なシステムとしてアメリカのGPS、ロシアのGLONASS、EUのGalileo、中国のBeiDou、準天頂衛星(QZSS)等があります。
複数の衛星から発信された信号を地上で受信、電波の遅延の差を測ることで地上の座標(位置)を測定するので、自分たちが地球上のどこにいるのかも分かりますし、カーナビや自動運転にも欠かせないものになってます。
【6か国の衛星測位システム】
GNSS(衛星測位システム)は6か国から打ち上げられています。
主にカーナビなどナビゲーションで使用されるのは、よく耳にするGPSですが、測量においては各国のGNSSを受信することで精度がより高まっています。
GNSSの精度は、測位にかかった時間=位置情報のズレの大きさ、になります。つまり、測位する時間が短ければ、受信側に提供される位置情報の精度も高くなります。
【それぞれの特徴】
●GPS(アメリカ)
Global Positioning System(グローバル・ポジショニング・システム)はアメリカによって運用されている衛星測位システムです。
軍事用に打ち上げた約30個のGPS衛星の中の数個の衛星からの信号をGPS受信機で受け取ることで自身の現在位置を知ることが可能になっています。
カーナビや携帯電話などに搭載されているのもGPSです。
多くのGPS受信機はより精度の高い位置情報を得るため、4つ以上のGPS衛星から信号を受信して情報を校正、測位計算を行い位置情報を求めています。
●GLONASS(ロシア)
ロシア語でГЛОНАСС – ГЛОбальная НАвигационная Спутниковая Система。ラテン文字転記の頭文字をとってGLONASS(グロナス)と言います。
(ラテン文字転記:GLObal’naya NAvigatsionnaya Sputnikovaya Sistema)
かつてのソビエト連邦が開発、ロシア航空宇宙軍の手によってロシア政府のために運用されている衛星測位システムです。
GLONASSは、L1からL3までの3つの異なる周波数で送信されています。
●Galileo(欧州)
ガリレオはEUが構築した衛星測位システムです。
高度約24000kmの上空に30機の衛星を打ち上げることを予定しており、現段階では30機中26機が打ち上げられています。(使用不能機・テスト機も含む)
残りの4機は2021年までに打ち上げられ、運用開始予定です。
測位にかかる時間を短縮し、より精度の高い位置情報を提供可能、とされています。
●BeiDou(中国)
BeiDou Navigation Satellite System、北斗衛星測位システムは、中国が独自に展開している衛星測位システムです。
2012年にアジア太平洋地域での運用を開始し、2018年に全世界向けのサービス開始をしました。2020年6月、最後の55基目の人工衛星が打ち上げられ完成しました。
●QZSS(日本)
Quasi-Zenith Satellite System、準天頂衛星システムは、日本が運用している日本及びアジア太平洋地域向けに利用可能とした衛星測位システムです。
2010年に準天頂衛星初号機みちびき (QZS-1)が打ち上げられ、2017年に追加で3機の打ち上げ、2018年4機体制で運用を開始しました。2023年までに7機体制にすることが決まっています。
地球全周を対象とするGPSは日本からは利用できない位置の衛星が多かったり、日本の地形の特徴として山間部や高層建築物などによって平坦な部分が少なくGPS衛星を受信することが難しい場所があったりしました。
そこで、QZSSにはGPS衛星とは異なる軌道を持たせ、QZSSからの信号とGPSからの信号を組み合わせることで、より精度の高い測位を可能としています。
●NavIC(インド)
Navigation Indian Constellation、NavIC 航法衛星システムは、インドが開発した衛星測位システムであり、人工衛星7機で構成されています。
2016年4月まではIRNSS(Indian Regional Navigation Satellite System)と呼ばれており、飛んでいる人工衛星の名前は7機とも「IRNSS」から始まります。
※RNSS (地域航法衛星システム)…Regional Navigation Satellite Systemの略。
NavICは国民が利用可能なサービスと、軍事用の暗号化された制限サービスの2つあります。
【補足】
全地球衛星系(GNSS)と地域衛星系(RNSS)
全地球衛星系であるGNSS はGPS・GLONASS・Galileo・BeiDou の4つとし、特定地域向けである地域衛星系、日本の準天頂衛星システム(QZSS)やインドの地域航法衛星システム(NavIC)はGNSSから除外されることもあります。
SBAS
satellite-based augmentation systemの略で、衛星測位システムの一種です。
静止衛星を使ってGPSなどの衛星測位システムによる測位の誤差を補正し、航空機向けに補正信号を送出するシステムの総称のことです。